■日光まで仏像を見に行く自分に驚く
この時期になるとテレビや新聞で各地の紅葉情報が流れて来る。そんな中で日光の紅葉が目に止まった。 日光なんてしばらく行っていないし、紅葉の時期は道が混むので行く気もなかった。
ところが、11月14日からの『仏像 in ハワイ』の実行委員長の仕事としてハワイへ行くが、その時に現地の天台宗ハワイ別院で日光輪王寺の門徒団体と一緒に35周年記念行事に参加することになっている。
そんなことから急に日光に行って紅葉と輪王寺の仏像を見たくなった。以前は全く興味も無かった仏像が今は親戚のように思えるから不思議だ。
朝の6時30分に女房と車で家を出た。今日の日光地方の天気予報は『曇り後、雨』だとテレビで伝えていた。
家から2時間半で神橋へ着く。そこから更に進み、『いろは坂』を登る。この辺りから紅葉がとても素晴らしくなって来る。途中で車を止めて写真を撮る。
中禅寺湖から竜頭の滝、戦国原と進み、ところどころで写真を撮り、もと来た道を戻る。
ところが雨男になったと思われた私は、まだ晴れ男だった。天気予報に反して、日光では晴天となってしまった。

お上りさんの観光客みたいに定番の華厳の滝を見てから輪王寺に向かう。
入口で拝観料の400円を払い、三仏堂に入る。
そこには8メートルを越す坐像が3体安置されている。日本でも有数の大きさの座像である。金色に塗られた仏像は木製の彫刻で作られている。
今までと違い、仏像の細部の彫刻に目が行く。もう私は殆ど仏師となっている。三仏堂を出たら境内の紅葉がやけに赤く目に止まった。古い物に触れて『日本人に生まれて良かった』とシミジミ思った1日であった。

(おまけの話)
日光と私は僅かながら繋がりがある。その繋がりは『見ざる、言わざる、聞かざる』の3猿の彫刻で有名な日光東照宮である。私のオヤジは八王子の出身である。実家は機屋(織物工場)だったが、更にその祖先は『千人隊』の一員だったらしい。
http://makino-sc.com/break/010307/index.htm
千人隊というのは、身分は武士であるが、普段は農民をしているという変則的な武士のようであった。主な任務は日光東照宮の火消し役である。
徳川幕府の命令で、1000人の武士が交替で日光東照宮に詰めていたらしい。
その後、徳川幕府の終焉とともに千人隊の一部が室蘭に入植したことを、私は伊達に行ってから知った。だが、その入植はどうも失敗に終ったらしい。
武士ともつかず、農民ともつかない先祖なので、今の私は伊達に滞在中は農民をして、東京に戻ると仏師をしているのが似合っているのかもしれない。