■伊達滞在を楽しむ2人のオヤジ
コテージにはベッドが6台ある。 1階の部屋を私が使い、2階の4台のベッドを彼らが使っている。2人とも彼らの女房には期待されていないせいか自立していて、なんでも自分で出来る。
いまどきの女房に頼りっ切りの駄目オヤジとは違う。
朝は自分で朝食を作る。K君は凝ったオムレツなんか作ってくれる。昼は外食だが、私が出先から部屋に戻ると飲めない私を横目に昼間から水割りなんか飲んでいる。
それぞれがあまり平凡でない人生を歩んで来たので、話していても面白い。話はどうしても『最近の若い者は・・・・・』ということになることが多い。これも我々が年を取った証拠である。それでも、『最近の若者は・・・・』言いたい。

滞在中は私はサービス精神を発揮して、色々な行事を計画していた。ところが台風4号の影響で、楽しみにしていた海釣りが駄目になった。
心優しい彼等は『こんな素晴らし自然があるのだから、コテージでゆっくりとしようよ』と言う。そこで持参したカントリー音楽を掛けて、バーボンを飲みながらゆったりと時を過ごす。彼等は私のことを落ち着きがないと言う。伊達の写真の師匠にも同じことを言われている。

ある日のコテージでの夕食のメニューを紹介しよう。
メインはビーフステーキ醤油味、オニオン・グラタンスープ、野菜サラダ、ガーリックライスであった。K君がシェフで、H君は助手である。
私は何も出来ないので、遠慮がちにテレビで大相撲観戦である。『聡明な女性は料理が上手い』と霧島洋子が本に書いていたが、『出世した男は料理が上手い』というのも付け加えたい。
(おまけの話)
ある日、この町の夜の盛り場に3人で繰り出した。
私は滅多に行かない。その理由は単純で、酒が飲めないからだ。それでも行きつけの店はある。『ノア』と『ボンジュール』である。
その日は翌日の朝食に食べる食料品をポスフールで買ってからノアに行った。ところがポスフールでは翌朝に食べる予定のオムレツに入れる玉葱が売り切れだった。K君は『玉葱がなくちゃーオムレツにならない』と機嫌が悪い。でも、仕方無い。
ノアに入るなり、K君はYママに『玉葱はある?』と聞く。聞かれた方は驚いた。1年振りに東京から現れた男の言うセリフではない。それでも気のいいママはどこからか玉葱を1個調達して来た。また、私が事前に通り掛かった時に頼んでおいたK君の好きなバーボンも仕入れておいてくれた。
1時間ほどして店も混んで来たので、バーボンのボトルを私の名前でキープしてお勘定となった。1万4800円というのに、K君は大きなお札を2枚置いて、『お釣りはいいから!』なんて格好いいセリフを吐いて店を出た。後にこの町に残る私は今後の態度に困るなー。
(後日談)K君に後から聞いたら、1万円札と5000円札だったそうで、200円のチップだった。それならいいかー。