■イコロの風呂屋が小金井公園の風呂屋を見る(2)
イコロ農園のTさんは今年の夏に五右衛門風呂を作って以来、『私は風呂屋です』と名乗っている。でもテレビに出た時は『農家』と紹介されていた。 本業はカメラ屋だが、ドトール・コーヒー店も経営しているし、少し前まではファンシーグッズのお店もやっていたので、何屋かよく分らない。
そんな彼の為に、東京見物2日目は私の地元の小金井に来てもらった。女性達は我々とは別れて、吉祥寺で手芸品のお店を徘徊するようだ。
手芸が好きなTさんの奥さんは伊達では買えない品々を求めて、私の女房と一緒に吉祥寺にあるバカでかい手芸のデパートの『ゆざわや』に行った。
私の方は伊達の風呂屋のTさんに、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』のモデルとなった風呂屋を見てもらおうという企画である。

それは東京江戸建物園にある。
伊達にも素晴らしい文化があるが、小金井も負けずに文化がある。
少し古い話では、現在の天皇陛下は戦時中に、今の小金井公園の中にあった家に疎開していて、その隣にあった学習院初等科に通っていたこともある。
公園内にある東京江戸建物園は由緒正しい建物を移設して建て直して、ここで都民が見られるようにしてある。ここに行くと昭和初期にタイムスリップする。
郷土愛というのか、一緒に行ったTさんに小金井の自慢をしたくなる。
小金井の人と話す時は伊達の自慢をしたくなるから変だ。

私は心の伊達市民の第一号であるが、3年前に噴火湾文化研究所のOさんが、『橋本さん、心の伊達市民という制度を作ろうと思うが、どう思いますか?』と聞きに来た。
私は大賛成をしたが、今になって思うと、来年から施行される『ふるさと納税』の制度が出来ることを見越しての提案だったのだろうか?もしそうなら、Oさんは大変な策士である。
私も来年からは住民税の10%を伊達市に納税しようと思う。
さて、Tさん一家はその後に全員が我が家に集合して、お茶を飲みながらお互いに懐かしい話になる。東京に居ても伊達を感じられるとは嬉しいことだ。
そして、Tさんの家族は東京滞在を楽しんで伊達に帰って行った。Tさんが伊達で小金井の自慢話をしてくれることを陰ながら願う。
(おまけの話)
東京江戸建物園の中には蔵という名前の『うどん屋』がある。ここでTさん達と昼食をとる予定をしていた。
建物が古い蔵の形をしているので、これも展示用の建物だと思われていて、中で本当のうどん屋をやっているとは思われていない。ここの名物は『かてうどん』である。
『かて』とは糧のことで、この辺りは昔は米が採れないのでお客様が来た時には精一杯頑張って地粉でうどんを打ってご馳走をした。
その時にうどんの付け合わせに出したのが小松菜などの緑黄野菜であった。茹でた野菜とうどんという粗末な食事であったが、貧しい中の御馳走であった。
今では健康の為に喜ばれているという変な時代となった。
このうどんはうどん博士と言われた小平の大学教授が協力して再現された。
なかなか美味しいのであるが、600円のうどんを食べる為には入園料を300円を支払わなければないことである。
だから、300円が惜しくてなかなか行けない。
その蔵うどんは、なんとその日は臨時休業だったのだ。Tさん、ご免なさい。