■仏像でチョコを釣る
私は仏師である。これはみんなが知っている。・・・・と思う。 そんなことから、最近は私の彫った仏像を欲しがる人が増えている。
なにしろ『欲しい』と言う人にはタダであげてしまうのだから、余程のことが無い限り『要らない』という人は少ない。
ただ、仏像はその辺りに転がっているキャラクター人形と違うので、もらった人が粗末に出来ないという欠点もある。
伊達市在住のM子さんが私の仏像を欲しいと言った。
そこで、私は彫った仏像をわざわざハワイまで連れて行き、外国の空気を味あわせてから北海道まで行かせた。今頃、伊達で寒くて震えているかもしれない。
ところが、先日のことである。そのお礼にと山ほどのプレゼントが伊達から届いた。
煮タコ、コーヒー、チョコレート、タオル、ホタテ貝である。

私の好物のコーヒー、女房の好きな煮タコ、ラーちゃんの好きなホタテが入っていた。
ラーちゃんはホタテの匂いを敏感に嗅ぎつけて、荷物を解くのが待てない。

丁度、バレンタインデーに届くようにとロイズの生チョコレートも入っている。憎いばかりの心遣いだ。
昨年の夏にM子さんに頼まれて野菜の写真を撮った時は、お礼は『天ざる』だった。
仏像だとこんなにお礼が来るということは、私はカメラマンとしての評価よりも仏師としての評価の方が遙かに高いということのようだ。
地元の友人のH君も『カメラより仏像の方がセンスが良い』と言っていたなー。
これからもドンドン、仏像を彫ろう。『誰か要りませんか?』
(おまけの話)
2月14日はバレンタインデーだそうだ。
女性から男性にチョコレートを贈るという習慣が日本では定着してしまった。
外国では、この日に男性が女性に愛を告白する為にプレゼントを贈るという習慣があるようだが、日本ではどうしたことか逆になってしまった。
この習慣はかなり前の話だが、日本のあるチョコレート・メーカーが仕掛けたイベントだそうだ。だから、元々はチョコレート・メーカーの販売促進政策だったのだから、それに日本中が乗せられているに過ぎない。
私の現役の時は会社ではバレンタインデーに女子社員がチョコレートを配ることを禁止していた。どうせ義理なんだから、そんなつまらないことでもめ事が起きたり、お返しで苦労したりするくらいなら、その労力を仕事に向けて欲しかったからだ。
ところが引退して、そんな心配もなくなったら誰も私にくれる人がいなくなった。私が今年もらったチョコレートは義理でくれた女房と娘からだけである。
それに追加して、義理かどうか分らない伊達市のM子さんからであった。
でも、もらうと嬉しいから不思議なチョコレートである。