■パリジェンヌがトイレで驚く
金曜日の朝に娘からメールが来た。 『明日は何か予定は入っていますか?』と短く聞いてきた。
予定の無い私は『ないです』と短く返信した。
するとすぐに電話があり、『会社にフランス本社から女性のお客があり、東京見物に連れて行ってくれるなら、滞在を1日延ばすと言っている』と言う。
そうまで言われちゃ、案内しなきゃならなくなる。
午前9時に広尾の娘の住むマンションに迎えに行く。
彼女はジュリアという名前の若いパリジェンヌで、前夜は深夜の1時まで渋谷で遊び、そのまま娘の住むマンションに泊まったのだそうだ。
日本には初めて来たそうで、日本のことを何でも知りたがる。
外国人を東京見物に連れて行く時の私のコースは大体決まっている。

お決まりのコースを進み、浅草の大和田で日本そばを食べることになった。
私は店のトイレを借りて驚いた。
なんと旧式の汽車便スタイルだ。
大小・男女兼用で立ってもしゃがんでも出来るあれだ。
一応は水洗になっているので、なんとか救われた。
そこで私はジュリアに『次のトイレ休憩は先なので、ここでトイレに行っておいた方がいいよー』と伝えた。
トイレから戻ったジュリアに聞いてみた。『どうだった?』
ジュリア『やり方が判らないので、ドアの方に向いてした』と言う。
夕食に人形町の芳味亭に行った時にもジュリアはトイレに行った。なんと、ここもまた汽車便スタイルだったそうだ。
今度は娘にやり方を聞いていたので、壁に向かってしたそうだ。
仕事の時は六本木ヒルズのグランドハイアットという高級ホテルに泊まり、ウォッシュレット・トイレに驚いたジュリアは、今度は汽車便で驚き、どちらが本当の日本か分らなくなっている。
これだけ親切にしてあげたのだから、6月に娘がパリに出張した時には、ジュリアも娘に親切にしてくれるだろう。
でも、パリジェンヌとトイレ談義をするオヤジも問題かなー?

(おまけの話)
私が国際人であるかどうかを決める為の最重要条件というのがある。
何人かの集団の中に外国人が混じっている場合に、日本では大体は英語か日本語が共通語となる。
だから、みんなで話をする場合は、その共通語で話さなければならないというのは世界の常識である。
今回は3人で話す時は英語で、娘がジュリアと仕事の話をする時はフランス語である。
それにジュリアの話す英語はフランス語なまりだから分り難く疲れたー。
例えば2人の日本人と2人のアメリカ人がいたとする。
この場合の共通語が英語とすると、日本人はアメリカ人に英語で話しかける。アメリカ人も日本人に英語で話しかける。
これは当たり前である。
次にアメリカ人Aがアメリカ人Bに話しかける時も英語である。
ところが、日本人Aが日本人Bに話しかける時は、日本語となってしまう。
これではアメリカ人は何を言っているのか分らないし、場合によると悪口を言われているのではないかと疑う。
台湾人やベトナム人はどうかというと、共通語が日本語なら、レベルの違いがあっても、その時は彼ら同士でも日本語で話す。日本人はこれが出来ないのだ。
これが出来るようになれば、本物の国際人と言ってもいいだろう。
それでいくと、私は全く国際人ではない。
自分の娘に英語でなんか話しかけられないよなー。