■観光客で変わる築地市場
女房に付き合って築地市場に行った。 築地市場という場所には以前は元料理研究家であった女房に付き合い、新鮮な食材を買う為に頻繁に行っていた。
その頃はまだあまり素人のお客は来ていなかったので、いかにも築地という玄人っぽい雰囲気があった。
ところが、最近の築地市場は場外だけでなく、場内までも観光客が入り込み、まるで観光地の様相を呈している。
もしかして、ここは新しい感覚のテーマパークなんだろうか?

少し前には場内でのマグロのセリの様子を見る外国人のマナーが悪く、観光客の立ち入りを禁止するほどであった。
ところが、その結果があまり良くなかったのか、また受け入れ出した。
これを見ても、築地はもはやプロの来る市場ではなくなっているのを感じる。
場内はまだしも、場外市場はもうプロは来ないのではないか?
最近は観光客相手の寿司屋が雨後の筍のように開店していて、テレビの取材も来ていた。
市場の取材でなく、寿司屋の取材というところが、最近の築地市場の凋落ぶりを表している。

数年先には築地市場は豊洲に移転することになっているが、その移転先が土壌汚染で大問題となっている。
豊洲に移転したら、多分、観光客はそこまでは来ないだろうと思う。
そうなると、困るのは市場関係者ではないのだろうか?
(おまけの話)
築地市場には多くの食べ物屋がある。
最近は店を畳んで寿司屋や丼物屋に場所を貸している老舗が増えている。

私の好きなのは場内の『茂助だんご』である。
ここの団子や草餅は甘さ控えめで、とても美味しい。
隣の『龍寿司』もいい。
少し値段は高いが、魚のプロが食べに来ている。
更に隣の『豊ちゃん』は洋食だが、庶民的な洋食で洒落たメニューは無い。

かつ丼のご飯の上の具だけを『あたま』と呼び、お客は『あたまとビール』なんていう風に注文している。
場外の道路沿いでは立ち食いの店が多い。
蕎麦、ラーメン、カレー、コーヒー、まぐろ丼など、どこも個性的で美味しい。
ここに来ると、東南アジアの屋台街を思い出させてくれる。

東京のど真ん中で、こんな品の無い場所も貴重である。
それがまた、人を惹き付けているのだろう。
私の好きな場所である。